Inner Bamboo Bass Instruments Ultimate Comp II ”U-Ⅱ” その2

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確かにU-Ⅱ はストンプとしてはお手頃とは言えない価格である。ケース加工やエンブレム装飾等見た目もゴージャスだが中身も贅沢な作りになっている。パーツだけの話じゃなくね、時間と手間を贅沢に使っているのだ。

音響機器レビューで「パーツを厳選し…。」は見慣れた言葉で、抵抗やコンデンサ、ワイヤー、ハンダに至まで高価なパーツで組んだ製品が巷には多々有る。

しかし高価なパーツを使えば良い音になるのかと言えば必ずしもYesとはならない。
特にコンプのような弾き手からの入力によって動作が左右されるエフェクターは、アタック、リリース、スレッショルド等の各ツマミのさじ加減が音そのものより大事だったりする。

実際攻撃スイッチとしてソロの時等にONにするストンプ系コンプは、音痩せやキャラの豹変、S/N比が多少悪くてもコンプとしてのフィーリングの方を優先させていた。音が良くても(オーディオ的に)アタックが遅くて速いフェンガリングについて来れなかったり行ったっきり戻って来てくれないリリースでは「うんにゃろ!」と踏んづけた意味が無い。

+4db系のラックマウント・タイプはオーディオ的には優等生なのだが「パッツパツやでオラァ!」な攻撃スイッチとしてはあばれはっちゃくさがイマイチ足りない。恒久的に補正として使うコンプは細かなセッティングが出来る+4系ラックタイプを使うがやはりストンプには求める物が違う。

そしてコンプを求めて果てしない旅が続き、しまいにはコンプマニアと化してしまうのだが…。
そんな旅を終わらせてくれたのがU-Ⅱである。そう終着駅は突然やって来た。

「いい感じ!これでもう髪の毛1本アタックを逃がして…。」なんて要求に追従してくれるコントロール類は見事な出来栄え。ソフト・ニーorハード・ニー、何分の一?なんてややこしいセッティングも無しで「こんな感じでいかがでしょ?」と決めて来る効果には制作者のセンスの良さが伝わって来る。「これ作った人ベース弾けるな、ベース好きなんやな。」である。

単に高価なパーツを使っているだけではなく、各パーツの数値を厳選し基板の裏打ちやここぞ!で登場するビンテージ・ソリッド・ワイヤー等が織りなすサウンドは紳士的な補正から怒った妖怪人間ベラのムチ並な攻撃力までをカバーし、オーディオ面での妥協も一切無しの強力無比なコンプなのである。